小清水漸は周知の通り、1970―80年代に日本で生まれた美術運動「もの派」の代表的な作家です。小清水漸は本年をもって京都市立芸術大学を退任し、その記念展が2010年1月21日~30日まで開催されておりました。それと並行するようにして、東京画廊では作業台シリーズの新作を展示しております。
小清水は1983年に東京画廊で第二回個展を開催し、そこで作業台シリーズを初めて発表します。それはもの派の頃の作品から、彫刻としての作品へと展開する転機となる、重要な表現となりました。
タイトル「雪のひま」とは初春の季語であり、雪が解け、ところどころに土が見える隙間を意味します。一本の楠から取った7センチ厚の板に、銀箔と、銀箔を腐食させた黒箔を貼り、また腐食途中の赤い箔も所々に散布させています。
「雪のひま」というタイトルから、白色をイメージして来られる方が多かったのですが、実際の作品は黒色であり、ところどころに銀箔の銀色が見られます。雪が止んで陽が射し、ちょうど雪が溶けて地面の石が顔を出す有様を、敢えて雪の白を黒色に反転させて表しているように見えます。また彫刻には、人間の営みの中で使用される麻のロープが巻かれ、人間と自然世界を一つの作品の中に敢えて併存させているのです。
オープニングでは「雪のひま」茶会を開催し、ご来場いただいたお客様にお茶と和菓子を振る舞いました。小清水先生の教え子の方々や、もの派の作家さんにも多くお越しいただき、非常に賑やかなオープニングとなりました。同展は2月20日まで開催しております。是非銀座にお越しの際は、お立ち寄りくださいませ。
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