2009年1月19日月曜日

ART@AGNES2009 FINAL

東京画廊+BTAPは先日神楽坂で開催されました「ART@AGNES 2009FINAL」に参加しました。最終回を迎える今回のAGNESでは、大巻伸嗣、宮澤男爵、平良美樹の3名の作家を中心に出品しました。展示風景の写真とともにご紹介します。

ベッドルームの壁には、宮澤男爵のドローイング10点を展示しました。



昨年末の古林希望との二人展「消息 / comings and goings」以来、多数のアートフェアで出品をし、注目を集めています。作品は鉛筆で薄く細く描かれているため、一見白い紙のようにも見えますが、近づいてみると小さな丸や点によって人の形が浮かび上がるのが分かります。画面上のイメージが現われているようにも消失していくようにも見え、描線が繊細な緊張感を保っています。顔を作品の表面スレスレまで近づけて見入っているお客様もいらっしゃいましたが、中には作品の存在にすら気づかず、素通りされた方もいらっしゃるのではないかと思います。宮澤男爵の作品をお見かけの際は、ぜひ顔を近づけて細部までご覧下さい。



同じくベッドルームには大巻伸嗣の新作を設置しました。


レースのような半透明の布に花模様を彩った作品です。床面や壁面などを使って空間全体を変幻させる作品が多い同作家にとって、布を使用した作品は初の試みです。部屋に備え付けられていたソファとランプに掛けると、布の持つ柔らかさや軽さが際立ち、描かれた模様がさまざまな表情を見せます。1辺3メートルの大きな布は、室内全体に浸透していくような印象を受けます。ベッドの上にくしゃっと丸めたものも合わせて設置するなど、今回は実験的な展示となりました。

そして地下のフロアには、平良美樹の立体作品『狐女房』を展示しました。



地方に伝わる伝説・昔話をモチーフに制作を行う、書道専攻出身の若手作家です。高さ3メートルの巨大なドレスの生地には、稲荷神社に伝わる「狐女房」の伝説が12万字にわたって書かれています。

「狐女房」とは、端折ってご説明すると

「命を救ってくれた男に恩返しをしようと、女狐が美しい若い女に化けて嫁に行き、子供を授かる。しかしある日、子供に本来の自分の狐の姿を見られ、姿を暗ます。」


という話です。


室内の展示ではバスルームを「狐女房が帰る場所」と見立て、作家がインスタレーション作品を手がけました。会期中、狐の顔の形に切られたお札に「狐女房」の話を延々と書き、バスルームの壁一面に貼られていきました。


ご来場いただきましたお客様、どうもありがとうございました。

佐々木博之

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