2009年9月25日金曜日

金田勝一個展「Plastic Model of Landscapes」@Galerie Frank Schlag & Cie.(エッセン)

2009年9月25日から10月23日まで、ドイツ・エッセンのGalerie Frank Schlag & Cie.において、金田勝一個展「Plastic Model of Landscapes」が開催されています。同ギャラリーでは2005年12月の個展以来ほぼ4年ぶり、2回目の個展となる本展では、新作の平面作品19点、立体作品3点が展示されています。
ギャラリーは古い一軒家をギャラリーに改装した建物で、地上3階地下1階です。展示スペースは1階と2階で、金田さんの個展は2階で開催されています。



金田さんと言えばF-1のサメの立体を思い出される方が多いかと思いますが、元々は油画専攻で、平面作品も多数制作しています。金田さんにとって大切なのは、「作品と鑑賞者との間に生まれる空気」であり、「平面であれば平面でしか表現出来ない鑑賞者に対しての情報の操作があり」、「立体であれば立体でしか乗せ得ない情報の提示方法があり、それぞれのイメージに合わせて形態を選択」しています。
平面作品では、アトリエのある京都・亀岡を中心とした、金田さんの日常生活が映画のワンシーンのように描かれています。京都=日本の伝統文化の中心地と言われていますが、トラックがばんばん走る国道沿いの日常の景色は日本全国どこも変わらぬ、今の日本の風景です。

素材へのこだわりも一層顕著です。今回の平面作品は、キャンバスやパネルは一切使われず、支持体はすべてFRPです。その上に油絵具、工業用ウレタンペイント、ニス、サーフェーサーなどを使い、作品表面の艶やかさや豊かな色遣いで、金田さん独特の印象的な画面を構成していますが、素材の選択ということについて、展覧会を前に金田さんは次のようにおっしゃっていました。
「今日様々な素材、材料を手にする事が出来ます。それらの素材はそれぞれ鑑賞者に取って様々なイメージがあり、それらの素材のイメージを記号として選択し画面または立体物に並べていく事によって鑑賞者のイメージを操作し、描く事と等しい効果を得られないかと考えております。」

一方、立体作品のタイトルは「Human’s Own Evo」シリーズ。回を重ねて、Evo5まで進化しました。(個展で展示されているのはEvo4です。)人が図鑑に載ったらどうなるか?といいうことがきっかけで作り始めた作品で、利益を求めてスピード社会を走り続ける現代人を、止まったら死ぬサメおよびスピードの象徴であるF-1マシンを通して見つめています。

渾身の新作「white car -Cedric Sports Spider」を前に満面の笑みの金田さん。

オープニングは、多くのコレクターさんに来ていただき、金田さんの作品とドイツ料理を囲んでの、とても和気あいあいとした雰囲気の中、深夜遅くまで続きました。

秋も深まり、ヨーロッパでのアートイベントも目白押しですが、ドイツ方面へお越しの方は、ぜひお立ち寄りください!


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