2009年3月12日木曜日

BTAP(北京)|Yuan & Xi Jian Jun個展『AIRCRAFT CARRIER PROJECT』開催中です。



BTAP(北京)では現在Yuan & Xi Jian Jun(蔡元&奚建军)の個展「AIRCRAFT CARRIER PROJECT」(会期:2009年2月28日~4月12日)が開催されています。今回はオープニング・レセプションの様子をレポートいたします。


世界各地でパフォーマンスを行ってきた2人組アーティスト、Yuan & Xi Jian Junは1999年から活動を開始。1999年、ロンドンのテートモダンに展示されているTracy Eminの作品「My BEd」の上で激しく飛び跳ねる、「カンフー」のパフォーマンスを行い、イギリスのメディアから大きな注目を集めます。上海ビエンナーレ(2000年)ではキュレーターのHou Hanryuを誘拐するパフォーマンスで、同展内の話題をさらいました。今年で結成10年目を迎えます。年に5~6回ほど展覧会を行うバイタリティ溢れる作家で、実は2人ともイギリス国籍を持ちます。

本展では実寸の1/50に縮小して複製された空母を用いた新たなパフォーマンスを発表しました。作家は空母を国家経済・国家権力の象徴として捉えます。21世紀に入って急速に進むグローバル化と、それらに付随して絶えず行われる権力争いに対して、批判的・懐疑的な姿勢でパフォーマンスに挑みました。




PM2:40、オープニングを20分後に控え、緊張するアーティスト2人です。実はCai(右)の制服はサイズを間違えて注文したため、ピチピチ。血流が止まるほどの小さい制服は、緊張に追い打ちをかけます。3月の北京は極寒であるにもかかわらず、ロングTシャツ1枚とジャケットという軽装の2人。オープニングに向けて意気込む2人は、寒さを一切感じさせません。


PM2:50オープニング10分前。3名の写真家による作品撮影が行われました。上の画像はそのうちのベストショットです。薄暗い会場内に突如と浮かび上がる体長6mほどの空母。分解できない為、展示スペースの入り口を壊して搬入されました。大きさのみならず重量も非常に多いので、20名がかり(全員男性)で設置されました。この展覧会のために深さ50cmほどの池をスペース内に造り、さらに2階には展望台が設営されました。


PM3:00、展覧会と同時に大勢の来場者が流れ込み、場内は大混雑です。



入口、入ってすぐのBTAPショップにて、本展のエディションワーク「World Map」を販売しました。世界地図の中の大陸を国ごとに解体し、各国が球体の中で浮遊するように描かれた作品です。このエディション作品のもととなった作品が、会場内には展示されていました。


薄暗い会場内で観客は池を取り囲み、物珍しそうに空母を眺めていました。子供たちが池に手を入れたり柵に立ったりするので、スタッフは事故が起きないよう始終目を離さず観客を監視します。

作家の周りには、個展オープンに祝福の言葉をかける方や、作品について質問している方などで、常に人だかりができていました。本展にはオーストラリア大使館の方にもご来場いただきました。




2階には4台のテレビが並置され、戦闘機が滑走路へと着陸(もしくは離陸)する映像が流れていました。




そして、7段ほどの階段を上ると、会場風景を一望できる展望台へとたどり着きます。プロジェクターで投影された「All my life watching America」が水面上に浮かび上がっていました。


PM4:05 
音楽が大音量で流れ出し会場が一瞬静まり返りますが、「何が起こるのか!?」「何が始まるのか!?」と期待する来場者で、会場がざわつき始めます。







そしてパフォーマンスが開始。アーティスト2人は、落ち着いた表情で歩き出し、池に入り、無言のまま落ち着いた表情で空母に近づいていきました。




そして、2人はこれから戦場へと旅立つかのような憂いの表情で1点を見つめ,観客に向かって敬礼。台詞を吐くわけでもなく、また観客への直接的なアプローチをするわけでもなく、二人は終始無言・無音のままパフォーマンスを行いました。どこか遠くを見るような恍惚とした表情からは、鑑賞者に何かを訴えかけているようには見えませんが、独自の世界を演じきる徹底したパフォーマンスは、見る者に強い印象を与えます。


入水により体も冷えきっているはずなのですが、作家二人は高陽した表情で静かに水から上がり、会場を立ち去って行きました。パフォーマンス後の作家は安堵の表情を浮かべてました。

2 件のコメント:

少年 さんのコメント...

sutaff ブログの存在はじめて知りました、とても見やすいです。

この展覧会は、大掛かりですがとても
繊細な感じもして興味津々です。

東京画廊+BTAP さんのコメント...

コメントありがとうございます。ブログを立ち上げて以来、初めてのコメントで、スタッフ一同大変喜んでいます。ブログを通して、東京画廊+BTAPの国内外の活動を広く紹介し、積極的に情報・アイディアを発信していきたいと考えております。

この展覧会は本当に大掛かりで、搬入のために入口を壊したのも、今回が初めてでした。また、この展覧会について何かしらレポートする予定ですので、どうぞご期待ください!