2009年2月23日月曜日

東亭順展@プラザノース ノースギャラリー

さいたま市のプラザノースで開催されている東亭順展に行ってきました。


プラザノースは、さいたま市北区にある図書館・ホール・ギャラリー・区役所などが入った複合施設です。




2008年5月に開館したばかりだそうで、その風貌は国立新美術さながらのモダン建築で、25,000㎡の面積を誇ります。宇都宮線土呂駅から徒歩15分ほどの場所に建設されています。駅周辺はひたすら住宅街で、閑散とした地域がしばらく続きますが、突如、このドでかい建物が現れます。なんとも立派な施設で驚きました。



施設内はカフェなども併設されており、休日を図書館やギャラリーで過ごす地域住民の方で、大変賑わっていました。




さて本題の東亭順展ですが、円形の平面作品が10点ほど展示され、広いスペースを贅沢に利用した構成になっています。



各作品にはスポットライトが照射され、床に設置された作品の周りは白砂で埋められていました。以前の記事で、東亭順の作品は「壁に設置されると、窓を通じて室内から外を眺めているような感覚がする」と述べました。一方で、このように作品を床に設置すると、見る角度によって描かれた木々や雲のようなものがそれぞれ異なる表情を見せるので、鑑賞方法の幅が広がります。




私は東亭順の作品を見ていると、描かれた風景が、どこが遠景でどこが前景なのか、よくわからなくなることがあります。画面中にある枝のようなものが前景にも見えるし、また後景にも見えるので、どれが背景なのか、どれが雲なのか木なのか、視覚的に定まらないのです。会場内の作家コメント文で、同作家は「天地左右を決めずに鑑賞者にゆだねたり、気分によってフレキシブルに角度を変えられる」よう制作していると述べていました。私が感じた「よくわからなさ」というのは、この制作方針からもたらされているのかもしれません。同展は比較的大きな作品が展示されているので、見ごたえもあるかと思います。






また、私が訪れた2月21日は、作家によるワークショップ「空を切り抜く」が行われていました。この情報を事前に仕入れていなかったので、到着した時にはワークショップは終了し、間もなく片付けが始まるところでした。シャッターチャンスを完全に逃しました・・・。







しかし終了後もまだ制作作業に勤しむ参加者がいらっしゃいました。ワークショップでは円形の板に写真、色紙、雑誌の切り抜きを使って、「空」を表現した作品を参加者それぞれが制作したそうです。



ニスを塗って研磨する工程をとる同作家ですが、ワークショップでは代わりに蝋(ろう)を作品の表面に塗布したそうです。




碧い色をベースとした作品が複数並べてあり、色調は同じでも、描かれた形や作品の印象はそれぞれ異なります。散乱した紙の切れ端や、飛び散った蝋(ろう)からは、参加者の熱気・余韻が伝わってきました・・・。遅れて来たことが悔やまれます・・・。




同展の来場者は先週だけで1000人を超えました。ワークショップ後の作家さんとお話したところ、その日だけで400人ほど展覧会に足を運んだそうです。地域の公共施設なので、都心からいらっしゃる方は少ないそうですが、これだけの方に見てもらえるのは、作家にとっても、ギャラリーにとっても、一般の方に現代美術を紹介できる得難い機会だと思いました。





2月28日(土)まで開催されておりますので、お時間ある方はぜひ足をお運びください。

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