2009年2月20日金曜日

呉強個展「無上清涼 / Supreme Purity」オープニング風景。

中国人水墨画家・呉強の個展「無上清涼 / Supreme Purity」を2月18日より開催しています。今回はオープニングの様子をレポートいたします。




日本国内の作家さんにも多数お越しいただきました。作品を眺めながら、呉強さんと日本人アーティストが語り合う場面が多く見られました。




また、弊社で日英中の翻訳を担当している留学生インターンは、オーストラリア人でありながら中国語が非常に堪能で、作家さんのご夫婦と混じりながら、通訳なしでスムーズに会話をしていました。私も見習わなければなりません。




また美術評論家の方にもお越しいただきました。評論家の方と作品を前に話す呉強です。呉強は筆で書かれた線ひとつひとつを詳細に解説できるほど、水墨画の技法を熟知し、またそれによって歴代の水墨画家と同等とも言える表現を実現させています。

作家によると、日本の水墨画の線は細く簡素であるのに対し、中国水墨画の線にはいくつもの種類があり、力強い描写が生まれるといいます。したがって中国の水墨画は日本のものよりも遠近感・奥行きがダイナミックに描かれ、また画中のイメージの存在が強く表れるそうです。水墨画を深く理解している方でないとこの違いを飲み込めないかもしれませんが、言われてみれば雪舟、長谷川等伯、村上華岳といった日本の水墨画家の作品は、漫画のようなフラットさがあるように思います。


日本の芸術文化のオリジンはすべて、中国4000年の歴史に集約されている、と言っても過言ではないでしょう。したがって、アジアに注目が集まる現代美術において、日本の諸芸術の性質・個性を見極めるためには、中国のそれと比較・考察することは不可欠であるのかもしれません。私たちが生きる現代は、人類の長い歴史を通してみると、ほんの一瞬のでしかありません。現代美術がどのようにして形作られてきたかを、モダニズム、ポストモダニズムという簡易的な用語で片付けるのではなく、歴史全体を見てその経緯を考えることも必要なのではないかと私は思います。遠い過去に遡って今の源流を見つけること、そして歴史総体の流れを感知して次に来るであろう時代を見極めること。その重要性を、今回の個展で私はつくづく実感しています。


展覧会は2009年3月14日まで開催されております。作品を多数収録したカタログも販売しておりますので、銀座にお越しの際は、是非お立ち寄りください。

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